
どんな賠償をしてもらえるの?
交通事故に遭った場合に、被害者が加害者に対し、損害賠償請求を行うことは、被害者の当然の権利です。
ところが、実際には、法律的に請求できる損害の範囲や金額についての十分な知識が不足しているために、被害者の方々が本来請求できるはずの損害の賠償を受けていないケースをよく見かけます。
というのも、交通事故による損害の費目は多岐に渡りますし、それぞれの金額を算定する基準についても、自賠責保険基準、保険会社基準、裁判所基準など、複数の基準が存在する現状では、金額を提示するサイドの立場によって、ときに金額が全然違うということが起こりうるからです。
そのため、交通事故の損害賠償請求を行う際、特に、示談書にサインする場合には、「本当にその内容が法的に適正なものなのか、十分な賠償がなされているのか」を専門家等に相談するなどして、事前によく検討することがとても大切といえます。
では、交通事故に遭った場合、被害者は加害者にどうような損害の賠償を請求できるのでしょうか。
代表的なものとしては、次の費目が考えられます。
(人身事故の場合)
■治療費
■付添看護費
■入院雑費
■通院交通費
■将来看護費
■家屋改造費
■装具費
■休業損害
■傷害慰謝料
■後遺症慰謝料
■逸失利益(いっしつりえき)
■葬儀費(死亡事故の場合)
■弁護士費用
(物損事故の場合)
■車両損害(修理費用、車両時価額)
■全損の場合の買い換え諸費用(登録費用・車庫証明手数料・納車費用・廃車費用のうち法定手数料・相当額のディーラー報酬部分・同程度の中古車取得に要する自動車取得税・被害車の未経過部分の重量税)
■評価損(格落ち)
■代車使用料
■レッカー代、保管料
■休車補償
■車両積載物の損害
このように、交通事故の損害賠償の種類は、多岐に渡ります。
また、各損害のそれぞれの算定方法も、一般の方にはあまり明確にされていないように思います。
特に、慰謝料については、保険会社が提示する金額と、弁護士や裁判所が算定する金額には大きな差が生じる場合がありますので、示談に応じる前に、十分、損害賠償額を吟味しておく必要があります。
また、後遺障害が認められるケースでは、保険会社が提示する慰謝料等を増額しうることが多いので、示談を行う前に、弁護士等の法律の専門家に相談した方がよいでしょう。
相手方の提示に納得できない!
交通事故の相手方、その保険会社による損害賠償の提示に納得できない場合もあると思います。
その場合でも、
(1)法律的に考えて、相手方の提示金額を引き上げることが可能
(2)法律的に考えても、相手方の提示金額が妥当
(3)法律的に考えると、証拠の問題などから、相手方の提示金額が妥当かどうかが不明だが、交渉による提示金額の引き上げを試す価値がある
というように、いくつかのパターンが考えられます。
そのため、「相手方の提示に納得できない!」「これで納得していいのか不安・・・」という場合には、まずは、弁護士にご相談されることをおすすめします。
特に、死亡・後遺障害事案の被害者の方については、多くの場合に、保険会社が提示する慰謝料等の金額を増額しうる可能性があり、その妥当性を慎重に見極める必要が高い場合が多いため、まずは、弁護士にご相談されることをおすすめします。
交通事故の解決手順は?
交通事故の損害賠償問題は、次のようなプロセスで解決に向かいます。
損害賠償責任の調査、損害賠償額の調査、算定
↓
当事者(保険会社)との示談交渉(金額交渉)
↓
調停、弁護士会あっせん手続、紛争処理センター等の利用
↓
裁判所へ仮払い仮処分の申立
↓
裁判所へ訴訟提起
↓
和解・判決
上記は一例であり、当然、訴訟提起に至るまでに、示談が成立することもあります。
ただし、訴訟提起をした方が、高額の損害賠償請求が見込まれる場合には、訴訟提起まですすむことがあります。
これらのプロセスのいずれからでも、弁護士が皆様のサポートを行うことができます。
確かに、弁護士に依頼を行えば弁護士費用がかかりますが、交渉如何で金額が大きく変動する可能性がある事案については、弁護士のサポートをつけた方がメリットがあると思われますので、まずはご相談されることをおすすめします。
高次脳機能障害って何?
高次脳機能障害とは、頭部外傷による意識障害被害者が治療の結果意識を回復したものの、意識回復後に、
●認知傷害
⇒記憶障害、集中力障害、遂行能力障害、判断力低下、病識欠落
●人格変性
⇒感情易変、不機嫌性、攻撃性、暴言、暴力、幼稚性、多弁、自発性低下、病的嫉妬、被害妄想
を生じ、就労が困難になるなど、社会復帰ができにくくなる障害をいいます。
診断名としては、「脳挫傷後遺症」「外傷性器質性精神障害」「外傷性痴呆」「びまん性脳損傷後遺症」「びまん性軸索損傷後遺症」等と付けられることが多いといえます。
この点、交通事故で、頭部に損傷を被った被害者の方も、脳の損傷がCTやMRIで確認できる場合には、その後遺症の残存が容易に判明します。
ところが、現実には、CTやMRIなどの画像には、脳挫傷痕や出血痕などの異常が何ら認められないのに、事故による頭部外傷後に、被害者が物覚えが悪くなったり、過度にイライラするなど、人格の変化が起きるケースがあります。
これらの症状がひどい場合には、到底、事故前の仕事に復帰できないこともありえます。
そのような場合には、被害者としては、交通事故による後遺症として、当然、しかるべき損害賠償請求を受けるべきです。
しかしながら、上記の通り、高次脳機能障害は、画像による異常が確認できにくいため、被害者の症状が、交通事故によるものなのか否かが争いになることが多いのです。
このような「目に見えにくい後遺障害」である高次脳機能障害を見逃さないためにも、交通事故によって、上記のような変化が生じた場合、特に、事故後に意識障害が生じた場合には、高次脳機能障害を疑う必要もあるでしょう。
もし、高次脳機能障害を見逃して、事故後の適切な時期に、的確に後遺障害を捉え、しかるべき損害賠償請求をしておかなければ、最悪、消滅時効により、本来であればできた請求ができなくなってしまうおそれもあります。
したがいまして、もし、上記のような症状があれば、早めに、専門の医師や交通事故に精通した弁護士等に相談した方がよいでしょう。
なお、当事務所は、交通事故問題全般に取り組んでおり、特に次のような後遺障害に関しても積極的に取り組んでおりますので、交通事故の損害賠償請求についてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
■ 高次脳機能障害
■ 脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)
■ PTSD
■ RSD(CRPS)
【参考情報】
・「高次脳機能障害ってなんだろう」(愛知県)
・「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」(損害保険料率算出機構)
・「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会報告書(2007年2月)」
・自賠責保険に対する請求手続と必要資料
・自賠責保険ポータルサイト
【交通事故、自動車保険に関する最新の最高裁判決】
・平成20年9月12日判決(Xの友人AがXの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いたXと飲酒をした後,寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し追突事故を起こした場合において,BはAと面識がなくAという人物の存在すら認識していなかったとしても自動車損害賠償保障法3条にいう運行供用者に当たるとされた事例)
・平成20年7月4日判決(新しいタイプの「被害者側の過失」を認めた判決、自動車保険ジャーナル1749-2)
・平成20年2月28日判決(金融商事判例1292-60)
・平成17年6月14日判決
・平成15年7月11日判決
・平成13年3月13日判決
・平成12年11月14日判決
・平成12年3月9日判決
【交通事故に関する近時の裁判例】
・札幌高裁平成20年4月18日判決(自動車保険ジャーナル1739-2)…キツネが高速道路に飛び出して死亡事故が起きた事件で、原審判決を取り消して、高速道路を管理する旧公団(現東日本高速道路株式会社)がキツネを含む中小動物の高速道路への侵入防止対策を講ぜず、高速道路としての通常有すべき安全性を欠いていたとして、道路の設置、保存の瑕疵を認め、同会社に対し損害賠償を命じた事例。
・東京地裁平成20年3月18日判決(自動車保険ジャーナル1747-14)…原付運転の被害者がタクシーと衝突、転倒し、受傷した事案で、国際疼痛学会基準には該当しない後遺障害につき、42歳女子の肩、手関節拘縮につき、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)10級10号であると認定した事案。
・東京地裁平成20年5月21日判決(自動車保険ジャーナル1747-8)…車道から歩道に進入した被害者自転車が転倒、受傷した事案。工事管理者に危険防止措置義務違反の過失を認めた事案。また、客観的医証に基づき、骨、筋萎縮、皮膚変化等を重視し、52歳男子の皮膚蒼白等は、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)9級10号であると認定した事案。
・東京高裁平成20年7月31日判決(法律新聞1776-7)…交通事故で脳脊髄液減少証(髄液漏れ)を発症したか否かが争われた事案で、事故によることを認定した事例。民事訴訟判決は、地裁案件で4件だされているが、高裁では初めて。
・東京地裁平成20年9月4日判決(自動車保険ジャーナル1763-8)…6時間一緒に飲食して、帰宅のため運転させたものに、民法719条2項の幇助者責任を認めた事例。





